vol.227(7月20日)
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◎ 故西江雅之氏 著作(協会会員 加原菜穂子氏 編纂)
「ピジン・クレオル諸語の世界 ことばとことば出会う時」 発行の御案内
(異なる言語の出会いをとおして人間の言語とは何かを考える。著者が生涯にわたって
追い続けた最大のテーマ、発の単行本化。)
以前協会のTOKTOK会にて異なる言語が出会った時のの興味深いご講演をいただきました
故 西江雅之先生の本が発刊されました。本書は先生の残された論考の中で中心的な二つの連載、
「出会いの言語学 平凡社「月刊百科」432号ー443号(1998年10月ー1999年9月)」と
「出会いと言葉 青土社「現代思想」2010年5月ー2011年4月」を納めたものです。
TOKTOK会に参加されて大きく刺激を受けた方も多かったと思いますが、
本書では丁寧にわかりやすく同様のテーマをわかりやすく学ぶことができます。
ご興味ある方は是非とも。(事務局)
白水社 「ピジン・クレオル諸語の世界 ことばとことばが出会うとき」2020年7月5日発行
ISBN978-4-560-08874-6 定価2500円+税
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◎ 当協会 名誉顧問 堀江正夫氏 NHK「ファミリーヒストリー」出演の御案内
8月17日(月)放送予定の「ファミリーヒストリー」に堀江正夫名誉顧問が
ニューギニア戦の厳しさを語られます。
番組は「ナイツの塙氏の祖父がニューギニアで戦死されたという事で、
堀江顧問がニューギニアの戦いについて語られたとのことです。
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◎ 新型コロナウイルスに関する注意喚起 (第 44 報)
(2020.7.16、 在PNG日本国大使館)
https://www.png.emb-japan.go.jp/files/100074675.pdf
パプアニューギニアにお住まいの皆様及び渡航中又は渡航予定の皆様へ
本 16 日(木)夕刻,ダクララ保健次官代理(副指揮官)は,
ポートモレスビーにおいて新たに4 名の陽性患者が確認された旨発表しました。
同発表の内容要旨は以下の通りです。
● 新たに 確認さ れた陽 性患者 4名は 何れも ポート モレス ビーの
Central Public Health Laboratory(CPHL)に勤める者。
●国内 12 人目の陽性患者は,新型コロナウイルスの GeneXpert 検査に携わる男性
scientist で,
2 日前から熱,咳,鼻水の症状があり,15
日(水)夕刻に陽性が確認された。現在容態は安定してお り,
Rita Flynn で隔離中。
●12 人目の陽性確認の後,CPHL 関係者 37 名の PCR 検査を行ったところ,
新たに3名の陽性が確認さ れた。
●13 人目は男性 support staff,14
人目は医療機材の移送やサンプルの輸送等に携わる女性 scientist,
15 人目は GeneXpert 検査に携わる男性
scientist。何れも容態は安定しており,Rita Flynn で隔離中。
●これに伴い,保健当局は感染経路の調査等を実施すると共に,CPHL は隔離される。
●当面の間,PCR 検査については,ゴロカの Institute of Medical
Research,シンガポール,
又は ブリスベンで実施することとなる。
●コロナの感染リスクは非常に高い。
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◎ 新型コロナウイルスに関する注意喚起 (第 45 報)
(2020.7.17、在PNG日本国大使館)
https://www.png.emb-japan.go.jp/files/100074874.pdf
2020 年7月 17 日(金)
パプアニューギニアにお住まいの皆様及び渡航中又は渡航予定の皆様へ
マニング警察長官(指揮官)は,PNG 入国に関する規制を含む全ての規制
(No1.~No.9)を 15 日(水) 付 で ア ッ プ デ ー ト し ま し た 。
何 れ も 16 日 ( 木 ) か ら 有 効 と さ れ て い ま す 。
各規制はPNG政府特設サイト(https://covid19.info.gov.pg/),
又は当館HP(https:/
/www.png.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html)で確認できますので,
邦人の皆様におかれても 詳細をご確認願います。
No.1 過去の規制の廃止
No.2 国際渡航
※PNG行きフライトに搭乗するために必要なPCR検査陰性の証明は,
これまでの「搭乗 14 日前 の受検」から「搭乗7日前の受検」に変更(パラ 7.
a.)。
※豪州クイーンズランド州に PNG 入国前に7日間滞在した者は,PNG 入国後(14
日間ではなく)
「7 日間」の隔離措置をする旨の規定を追加(パラ 15.)。
※「(PNG 入国後の)隔離措置の間,指揮官の要請に応じて PCR
検査を受けなければならない(パラ 19.)。
右受検要請に応じない場合は,受検を拒否した日から 14
日間の追加隔離をしなければならな いが,
(当該受験拒否は)パンデミック法違反とはみなされない(パラ
20.)」との規定を追加。
※「隔離措置の間,旅券を滞在ホテルに預けなければならない(パラ
23.~26.)」との規定を追加。
No.3 国内渡航 ※特段の変更無し。
No.4 各州当局における体制と権限
※夜間外出禁止令及び罰金に関する州当局の権限を削除。
No.5 死者の埋葬
※特段の変更無し。
No.6 税関
※特段の変更無し。
No.7 COVID-19 検査の実施
※Pacific International Hospital 等を検査実施機関として追加。
No.8 COVID-19 検査の対象・報告
※レベル3以上の医療施設及び特にポートモレスビー内の医療施設(Schedule 2
に記載の施設)においては,
コロナ感染の疑いがある患者が当該施設に入ることを回避すべく,
発熱等の症状を事前に チェックする pre-triage
サービスの実施を義務化すると共に,
呼吸器系症状を有する患者に対する
マスク着用とフィジカル・ディスタンスを確保するよう明記(パラ 5.~7.)。
※ポートモレスビー市内の医療施設において検査対象とすべき症状
(38 度以上,咳,肺炎の入院患 者,10 歳以上の肺炎外来患者)を明記。
No.9 スポーツ・宗教活動・集会等の制限
※特段の変更無し。
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◎ パンデミック法に基づく規制(7月15日付け) (2020.7.17、在PNG日本国大使館)
https://www.png.emb-japan.go.jp/files/100074875.pdf
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◎ 新型コロナウイルスに関する注意喚起 (第 46 報)
(2020.7.20、在PNG日本国大使館)
https://www.png.emb-japan.go.jp/files/100075235.pdf
パプアニューギニアにお住まいの皆様及び渡航中又は渡航予定の皆様へ
報道等によれば,PNG 当局は 17 日(金)に1名(16 人目),
19 日(日)に1名(17 人目)の陽性
患者がポートモレスビー総合病院で確認された旨発表しました。
同発表の概要は以下の通りです。
●16 人目は,16 日(木)に発表された4名と同じく,
ポートモレスビー総合病院にある Central Public Health
Laboratory(CPHL)に勤める男性。
●17 人目は,ポートモレスビー総合病院で死亡した 48
歳女性の乳がん(ステージ4)患者。
呼吸器 系の症状があった死亡患者に対して行っている検査により陽性が判明した。
死因は肺や肝臓等の多 臓器不全だが,コロナによって悪化した可能性がある。
●12 人目から 17
人目の6名は,教会,ショッピングセンター,ブアイ・マーケットに出入りし,
公 共交通機関も使用していた。警戒が必要である。
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◎ 令和元年の戦没者の遺骨収集の実施報告、ミャンマー・フィリピン等で情報収集
(2022.7.9、 アセアン情報サイト )https://portal-worlds.com/news/asean/21382
厚生労働省は、「戦没者の遺骨収集事業の実施状況等に関する報告書」を作成し、
遺骨収集のためにミャンマー・フィリピン・インドなどで情報収集し、
パラオ諸島やソロモン諸島などで遺骨収集を行ったことを明らかにした。
「戦没者の遺骨収集事業の実施状況等に関する報告書」は、
「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」に係る参議院厚生労働委員会における附帯決議に基づき実施されているものである。
報告書では、「1.戦没者の遺骨収集事業のあり方の見直しに係る検討の経緯と今後の事業の実施について」
「2.令和元年度の戦没者の遺骨収集事業実施実績について」として報告が行われており、
2の報告に関しては、『情報の収集等』『戦没者の遺骨収集等』の報告が行われている。
『情報の収集等』に関しては、集中実施期間において、
今次の大戦の交戦国の国立公文書館等に所蔵されている文書などの収集や現地調査といった、
戦没者の遺骨収集に必要な情報の収集に集中的に取り組み、それらの情報などをもとに戦没者の遺骨収集を実施することとされている。
令和元年度に実施した遺骨収集の実施状況は、指定法人が、ミャンマーへ3回、
パラオ諸島へ3回、東部ニューギニア(パプアニューギニア独立国)へ6回、
ビスマーク・ソロモン諸島(パプアニューギニア独立国1回、ソロモン諸島3回)へ4回、インドへ2回、
ミクロネシアへ1回、マリアナ諸島へ5回、鹿児島県西之表市喜志鹿崎沖へ1回、
派遣団員を派遣し、情報の所在地まで踏査し遺骨の有無を確認した 。
また、厚生労働省が指定法人の協力を得て、
旧ソ連地域へ5回(イルクーツク州・ブリヤート共和国、ザバイカル地方及びカザフスタン共和国各1回、
並びにハバロフスク地方2回)にわたり派遣団員を派遣し、埋葬地調査や遺骨の有無を確認した。
この他、厚生労働省がフィリピンへ1回、職員を派遣し、
遺骨鑑定人等の同行の上で情報の所在地まで踏査し遺骨の有無を確認した。
『戦没者の遺骨収集等』に関しては、調査において収集した情報などに基づき、
厚生労働省の指導監督の下、指定法人が必要に応じて現地の事情に精通した者や
専門的な知見を有する者など各種の民間団体などの協力を得ながら実施している。
令和元年度に実施した遺骨収集の実施状況は、指定法人が、東京都小笠原村硫黄島へ4回、パラオ諸島へ2回、
マリアナ諸島へ3回、東部ニューギニア(パプアニューギニア独立国)へ1回、ビスマーク・ソロモン諸島(ソロモン諸島1回)へ1回、
旧ソ連地域へ4回(イルクーツク州・ザバイカル地方及びカザフスタン共和国各1回
、
並びにハバロフスク地方2回)、樺太へ1回の計16
回の派遣を行い、348柱の遺骨を収容した。
これらの他、厚生労働省が沖縄県において収容した1柱及び沖縄県に委託して収容した58柱を含め、
令和元年度の遺骨収容数は、総計で407柱となった。
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◎ ディズニーランドを浦安に“創設”した高橋政知、開業2年後の証言 (2020.7.15、
DIAMOND On Line ) https://diamond.jp/articles/-/243081
東京ディズニーランド(TDL)のエントランスを抜けてすぐ、
レストランやショップが並ぶワールドバザールにある「タウンセンターファッション」のショーウインドーの一角に、
「FOUNDER」(創設者)の文字と共に「MASATOMO
TAKAHASHI」の名前が刻まれた絵が飾ってある。1983年4月のTDL開業時に、
運営会社であるオリエンタルランドの社長だった高橋政知(1913年9月4日~2000年1月31日)のものだ。
高橋は東京帝国大学を卒業後、1939年に理研重工業に入社。
戦火が激しくなると、徴兵から逃れるため中国・上海にあった三興製粉に入社するが、結局、現地召集に遭う。
パプアニューギニア東部のラバウルで捕虜となるも、無事に復員すると、石油の特約店の経営に携わり、
55年に日本住宅公団(現都市再生機構)の前身である建財の常務となった。
そんな高橋に、三井不動産の取締役業務部長だった江戸英雄(後に三井不動産社長)から、
設立間もないオリエンタルランドの専務就任の声が掛かる。当時、京成電鉄、三井不動産、千葉県などを中心に、
千葉県・浦安地区の東京湾岸を埋め立てて一大レジャーランドを建設する計画が進んでおり、
地元の漁業組合に漁業権の放棄を求める交渉役として、高橋に白羽の矢が立ったのだ。
気性が荒く、仲間意識も強い漁師たちとの交渉は一筋縄ではいかない。
しかし、豪放磊落ながら誠実で対人折衝に長けた高橋は、
漁協の幹部たちとひたすら酒を酌み交わして信頼を勝ち取り、交渉をまとめていった。
領収書をもらえない接待も多く、高橋は多額の身銭を切るあまり、
東京都渋谷区松濤にあった屋敷を売り払ったとの逸話も残る。
オリエンタルランドの初代社長は京成電鉄の社長だった川崎千春が務めたが、前述の通り、
TDL開業時の社長は2代目の高橋である。
TDLへの総投資額は土地を除いても1500億円で、79年の米ウォルト・ディズニー・カンパニーとの契約時点から3倍近くに膨れ上がっていた。
年間の来場者1000万人を達成しないと赤字といわれた中での開業だったが、初年度も2年目も見事に1000万人を達成。
順風満帆のスタートとなった。
今回は、「週刊ダイヤモンド」1985年6月8日号に掲載された、開業から2年たったタイミングで行われた高橋のインタビューだ。
「アメリカのディズニーは今年が30周年記念です。こっちはまだ2年です。
これから若い人に大いに頑張ってもらって30周年を迎えたいですなあ」と高橋は語っている。
37周年となる2020年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための長期休園もあって苦戦しているが、
年間来場者数は約1800万人(18年、Themed Entertainment Association調べ)と、
もちろん日本最大のテーマパークで、世界でも3本の指に入る集客力を誇る娯楽施設だ。
この「夢と魔法の王国」は、高橋の活躍なくしては誕生し得なかった。
高橋は98年に米ディズニーから功績をたたえられ「ディズニー・レジェンド」を受賞。
その2年後の2000年に86歳で亡くなった。
(敬称略)(ダイヤモンド編集部論説委員 深澤 献)
1時間近くの行列は苦痛だがガラガラでもお客はつまらない
──入場者数はなかなか順調のようですね。
おかげさまで次年度も1000万の大台なもんですからね。ありがたいこったと思ってますわ。
──こういうものは2年目はある程度落ちると考えられていますけどね。
だいたい次年度は750万から800万がせいぜいだろうといわれていたんですが、
リピーター(2度以上来園する人)が3割ぐらいありました。これはありがたいことなんですよ。
われわれ従業員にもお客さまにサービス申し上げて、本当に今日一日楽しかった、
またお小遣いためて来たいな、という気持ちにして差し上げてお帰り願うというのが理想だと話しています。
ああ、こんなとこばかばかしい、もう二度と来ない、なんて言われたんじゃおしまいですからな(笑)。
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◎ パプア経済、今年はマイナス成長へ=世界銀 (2020.7.16、アジア経済ニュース )
https://www.nna.jp/news/show/2069113
世界銀行(世銀)はこのほど、パプアニューギニアの2020年の実質経済成長率が、
新型コロナウイルスの感染症拡大によるコモディティー需要の縮小と交易条件の悪化により、
マイナス1.3%になるとの見通しを明らかにした。ただ、世界経済の回復により21年には3.4%になるという。
ビジネスアドバンテージPNGが伝えた。
世銀でパプアニューギニア経済を専門にするエコノミストのイリヤス・サスノフ氏は、
液化天然ガス(LNG)や銅、金などの資源部門の今年の成長率はマイナス2.7%となり、
非資源部門は横ばいだと予想している。
パプアの2019年の成長率は6%だったが、18年はマイナス0.75%。
一方、資源部門の昨年の成長率は10%だった。
サスノフ氏は、パプア政府は新型コロナに対して迅速な対応を行ったと評価。
国内総生産(GDP)の2.2%に当たる18億3,500万キナ(約561億円)を拠出して、
感染抑制やロックダウン(都市封鎖)で影響を受けた部門への支援を行った。
国税局は、納税申請の期限延長を認め、納付期限を2カ月間延長するとしている。
パプアの会計年度は暦年で、法人税は30%、所得税は累進課税で税率が22~44%となっている。
銀行は新型コロナの影響を受けた世帯や企業を救済する目的で、
総残高6億キナの融資に対し3カ月の返済猶予を認めた。
世銀は、来年以降のパプア経済の回復には、
資源部門への新規プロジェクトに対する海外投資が必要だと指摘。
また、質の高いインフラがパプアの持続的成長を下支えするとし、
送電網や道路・空港・港・水路などの開発が必要だとしている。
パプアの新型コロナの累計感染者数は11人で、8人が既に回復。
現在の患者は3人で、死者は出ていない。
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◎ パプアニューギニアでM7.3の地震 日本への津波影響なし (2020.7.17、
NHK ) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200717/k10012520231000.html
ハワイにある太平洋津波警報センターから気象庁に入った連絡によりますと、
日本時間の17日午前11時50分ごろ、
パプアニューギニアのニューギニア東部を震源とするマグニチュード7.3の大きな地震がありました。
気象庁によりますと、この地震による日本への津波の影響はありません。
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◎ 大洋州で前日のパプアニューギニアM7.0に続くソロモン諸島M5.9のM6クラス地震
(2020.7.18、地震ニュース)
https://jishin-news.com/archives/18498
USGSによると日本時間2020年07月18日10:37に大洋州のソロモン諸島でM5.9の地震が発生した。
今回の震源周辺では2020年06月15日にソロモン諸島でM4.6の地震が今回の震源からは約21km離れた場所で起きていた。
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◎ なぜ言語が消えるのか?あと数十年で消える独自の言語・タヤップ語の変遷を追いかけた一冊
(2020.7.18、 Excite ニュース)
https://www.excite.co.jp/news/article/AllReview_00004723/
『最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』(原書房)
著者:ドン・クリック
◆踏み入る者が「終わり」を作る
パプアニューギニアの熱帯雨林の奥深くにあるガプンという村に三〇年以上通い、
あと数十年で消える独自の言語・タヤップ語の変遷を追いかけた一冊。
消えゆく言語の稀少性を記録しようと試みるが、外界と交流しない村人にとって、
言語の消滅は自分たちのアイデンティティと直結しない。「言語の多様性」を捉えることができるのは、
「パノラマ的に全体を見ることのできる専門家」だけ。
なぜ言語が消えるのか? 人々が話さなくなるから。
このシンプルな答えを「保存すべきだった絶妙な芸術作品」と持ち上げるのは、いかにも身勝手なのだ。
そもそも、ガプンの人々は言葉を「共有」しているのではなく、自分のバージョンで話しているとの意識を持っていた。
常に自分だけが所有する自分の言葉という感覚がある。
村人は何度もやってくる著者を幽霊だと思い、村に変化をもたらす秘密を持つ人間だと認識されていく。「
戻ってきた死人」として、死んだ父への手紙を託されることさえあった。
観察する様子を観察され、茹でたサゴゾウムシや孵化する直前のツカツクリの卵などのごちそうを振舞われる。
やがて、村に強盗が現れ、持ち物を略奪され、村民が銃殺されてしまう。
自分が村に滞在したことで命が失われ、生活が揺さぶられたことになる。関与することの弊害に悩み続ける。
村の人口が大幅に減少したのは、一九四二年に、とある軍隊が現れたこと。
当初は塩とサゴヤシを交換するなど友好的だったが、補給路が断たれると、
「狂暴で暴力的になり、村人は恐怖に怯(おび)えた」。結果、赤痢が流行し、多くの村人が命を落としたとある。
その軍とは日本軍。未開の地の歴史に突如登場する存在に驚く。
歴史の重みという視点は、手つかずの歴史を前にすると機能しない。
踏み入れて行く者たちが「終わり」を作る。
だが、その場にいる人達には「終わり」の自覚が用意されていないのだ。
【書き手】
武田 砂鉄
1982 年東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年秋よりフリーライターに。
著書に『紋切型社会』(朝日出版社、2015年、第25回
Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、
『芸能人寛容論』(青弓社)、『コンプレックス文化論』(文藝春秋)、『日本の気配』などがある。
【初出メディア】
朝日新聞 2020年3月28日
【書誌情報】
最期の言葉の村へ:消滅危機言語タヤップを話す人々との30年著者:ドン・クリック
翻訳:上京 恵
出版社:原書房
装丁:単行本(332ページ)
発売日:2020-01-21
ISBN-10:4562057203ISBN-13:978-4562057207
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