メルマガ・広報誌

vol.277(12月10日)

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◎ 米エクソン、パプアのガス開発に180億ドル以上投資へ=幹部 
(2021.12.1、 ロイター) https://jp.reuters.com/article/papua-lng-idJPKBN2IG31M
 [メルボルン 1日 ロイター] - 米石油大手エクソンモービルの幹部は1日、
パプアニューギニアで同社が権益を保有するプニャンガス田と、
仏エネルギー大手トタルが進める液化天然ガス(LNG)のプロジェクトについて、
今後10年で180億ドル以上の投資を予定していると明らかにした。
パプアの鉱業と石油に関する会合で述べた。
エクソンはプニャンガス田の開発を巡りパプア政府と交渉を続けている。
エクソンが運営するLNGプラントは既存のガス供給源が枯渇した後、プニャンガス田から供給を受ける計画。
トタルの「パプアLNG」プロジェクトは、エルクガス田とアンテロープガス田で生産したガスを
トレインと呼ばれる新たな冷却設備2基に供給する。
エクソンのパプア担当マネジングディレクター、ピーター・ラーデン氏は
「パプアLNGプロジェクトの後にプニャンガス田を開発する方針だ」とし、
「建設が10年近く続き、650億キナ(180億ドル)以上投資する可能性がある」と述べた。

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◎ 「マセラティやベントレーにランクルが行方不明!?」
APEC首脳会議のために購入した高級車は何処に?(2021.12.1、ヤフー)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f788f832279d543390958ccb2e5b1c462e0aabd6
 高級車採用は、国のメンツを保つため?
 よほど外交に興味を持っていないかぎり、2018年にAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が
パプアニューギニアで開催された、なんてことは記憶にないだろう。
もう3年も昔の話なのに、なぜ今さらその話題に……と思われる方もいるかと思うが、
実は当時用いられた送迎車両について信じられない話が持ち上がっているのだ。
APECは1989年に閣僚会議としてスタートしたのが、その始まり。
1993年からは首脳会議もおこなわれ、現在ではアジア太平洋地域の21の国と地域(エコノミー)が参加する
経済協力の枠組みとなっている。
アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて、
貿易・投資の自由化・円滑化や地域経済統合の推進、経済・技術協力等の活動を実施することが主目的である。  
一般市民にとって「外交」は縁遠い言葉かもしれないが、
多くの場面において国と国との面子の張り合いの世界である、と耳にする。
ましてや各国の首脳が集う国際会議のホスト国となれば、参加者の安全確保は大前提ながら、
諸外国に“ナメ”られないように頑張ってしまいがち。  
そこでパプアニューギニアは……、なんとAPECのVIP送迎車両としてマセラティ「クアトロポルテ」40台、
ベントレー「フライングスパー」3台を新たに調達したのだ。
高級車で送迎したほうが参加者から印象が良い、というのは“接待”的側面から理解できなくもない。
 ちなみに、いずれの自動車メーカーもパプアニューギニアには正規ディーラーは存在していない。
 ベントレーをどこから購入したのかは定かではないが、マセラティはスリランカの正規ディーラーから購入されたという。
そして、高級車を購入することに反発した国民に対して、これら高級車はAPEC終了後に払い下げられる、と発表していた。
しかし、いざ、蓋を開けてみると、実際に買い手がついたのはマセラティ2台とベントレー1台に過ぎなかった。
 ●行方不明の車両は284台!  
マセラティやベントレーといった高級車ブランドに注目しがちだが、
実はそのほかトヨタ「ランドクルーザー」、
フォード(車種不明)やマツダ(車種不明)が購入され、
なんと合計284台もの車両が行方不明(!)になっている、とのこと。
そしてマセラティも本当は行方不明なのではないかという国民の声を払拭するために、
パプアニューギニア政府は車庫をマスコミに公開する始末となった。  
日本はパプアニューギニアでのAPEC開催に際し、1300万キーナ(約4億2000万円)の支援をおこない、
そこから23台のマイクロバス、23台のミニバン、22台の救急車が購入されたという。
しかし、それらの車両が今も正当に活用されているのか否か、我々に知る由はない。  
なお、APEC2018に参加した当時の安倍首相、マセラティやベントレーではなく、
在パプアニューギニア日本大使の車両と思しきランドクルーザーで送迎されていた。
赤いナンバープレートに「DC(Diplomatic Corps)」の文字が刻印されているのは、外交官ナンバーという意味。
一方、この手の外交面でもっとも面子を重んじがちな中国は、自国から紅旗を持ち込んでいた。
ちなみに、ナンバープレートはなかった。

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◎ 《安全》オミクロン4例目、ナイジェリアに滞在歴(2021.12.2、 アジア経済ニュース)
https://www.nna.jp/news/show/2270439
 香港政府衛生署衛生防護センター(CHP)は1日、
新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の感染者を新たに1人確認したと発表した。
香港では4例目となる。
11月28日の感染統計に計上されていた38歳の男性。24日にカタールから到着したが、
査証(ビザ)の問題により入境を認められず、
空港の制限エリアに滞在していた。27日に受けた出境前検査でコロナ陽性が判明し、
さらに詳しい検査でオミクロン株に感染していることが分かった。
男性はパプアニューギニア、ナイジェリアに滞在歴がある。
香港でこれまでに見つかったオミクロン株感染は全て海外からの流入症例。
感染源はうち2例が南アフリカ、2例がナイジェリアとみられている。
CHPは同日、新たに3人のコロナ感染者を確認したと発表した。
いずれも流入症例で、累計の感染者数は1万2,439人。域内感染者は54日連続でゼロとなっている。

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◎ ソロモン諸島チャイナタウンで暴動、背景にある中台バトルとは 
(2021.12.2、BIGLOVEニュース/JBpress )https://news.biglobe.ne.jp/international/1202/jbp_211202_1833030800.html
 南太平洋の島嶼国、ソロモン諸島で先週、大規模な反政府デモが暴徒化し、首都では夜間外出禁止令が出た。
主な被害は首都圏のチャイナタウン地域で、中国系企業や店舗、施設が放火、略奪に遭い、
少なくとも3人の身元不明の焼死体が確認されている。
目下、オーストラリアなどが治安維持のための軍警約100人を派遣し暴動自体は沈静化しているようだが、
政治的緊張は高まり続けている。
 11月24日、デモは当初、ソガバレ首相の退陣を求める反政府デモとして発生した。
それがなぜチャイナタウンの焼き討ちに発展したのか。
その背景には、中国と台湾の“外交場外乱闘”があると指摘されているが、それはどういうわけなのだろうか。
親中派首相が台湾と断交
 背景を簡単に説明しておこう。
 南太平洋、パプアニューギニアの東側にある6つ主要島からなる人口約70万人、
100以上の部族方言をもつ多民族島嶼国・ソロモン諸島は、1978年に英国統治下から独立したのち、
国内政治が断続的に不安定だった。
特に最多人口のマライタ島(マライタ州)と中央政府のあるガダルカナル島(ガダルカナル州)の部族が反目し、
1998年から2003年までの間、激しい部族衝突が続いていた。2000年6月には元蔵相による事実上の政変も起きた。
 ガダルカナル島の首都ホニアラには、多くのマライタ島民が移住している。
それらのマライタ移民と、地元ガダルカナル島民との関係は極めて悪く、
ガダルカナル島民はマライタ移民に土地を不法に占拠されていると感じていた。
一方、マライタ移民は建設業など単純労働に従事する者が多く、搾取されていると感じていた。
無職、無就学のマライタ出身の若者が徒党をつくってガダルカナル島民を殺害するといった事件も起きていた。
そうした経緯からガダルカナル島民は民兵組織(イサタンプ解放運動、IMF)を作り、
2万人のマライタ系住民をガダルカナル島から力ずくで追い出した。
この際、マライタ系住民は豚や建物などの財産をIMFに奪われた。
 2003年まで、そうした民族紛争が2000回以上繰り返されてきたという。
その間に政変も起こり、その後も国内政治は安定しなかった。
結局、軍隊を持たないソロモン諸島自身ではこの対立は解決できず、
オーストラリア、ニュージーランドを中心とした多国籍の平和維持部隊(RAMSI、
ソロモン諸島支援ミッション)の干渉によって、なんとか事態は収束した。
 この民族紛争は、ガダルカナル、マライタ系住民双方に相当の苦痛や経済損失を含む被害を出しており、
双方が中央政府に賠償を求めた。
ちなみにこの賠償金は中央政府から双方に支払われたが、それは1983年以来、
ソロモン諸島と国交を結んできた台湾の輸出入銀行の融資によって賄われた。
 だが、ソロモン諸島と台湾との国交は、2019年にマナセ・ソガバレ首相によって断絶される。
ソガバレは、かねてより反RAMSI、対オーストラリア強硬派だった。
2017年に4度目の首相の任に就いた際、オーストラリアと中国の関係悪化をみて、
中国との国交樹立がオーストラリアへの対抗に有利である、と判断したこともあるようだ。
だが決め手は、中国の5億ドルの支援などだったと見られている。チャイナマネーに絡め取られたというわけだ。
高まっていた国民の反中感情
 一方、ソロモン諸島の国民にはもともと反中感情があった。
2006年の選挙をきっかけにホニアラで起きた暴動では、チャイナタウンが襲撃されている。
暴動の責任を取る形で、当時のスナイダー・リニ首相は辞任した。
リニ首相の選出に北京当局が関与している、という噂が暴動の引き金だった。
政治不信の根っこに「華人が政治に介入している」「華人が経済を支配している」
「新しく来た中国人に島の伝統社会に対する理解やリスペクトがない」といった対中嫌悪があるとも指摘されていた。
ただこの時点では、ターゲットになっている華人には台湾人も含まれている。
 こうした中国人嫌悪の感情は、2019年にソガバレ政権が台湾断交、
中国国交樹立を打ち出して以降、さらに高まることになった。
中国企業が「一帯一路」を掲げて大量の中国人労働者を引き連れてやってきたことで、
現地の若者の雇用が奪われたという恨みが高じた。
 また、中国との国交樹立とほぼ同じタイミングで、
ソロモン諸島中央に位置するツラギ島を中国の国営企業「中国森田企業集団」に
丸々75年間貸与する契約が結ばれたという報道が出たことも、ソロモン諸島国民の感情を逆なでした。
ツラギ島は太平洋戦争で日米が死闘を繰り広げた激戦の地。
地政学的な要衝の地であり、軍港に適した入江もある。
ここに中国が軍事基地でも作るのではないか、と国際社会も騒然とした。
 ツラギ島租借契約は違法であり破棄せねばならない、とソロモン諸島法務相は後に声明を出し、
国際社会の圧力もあって白紙に戻させたが、中国がソロモンを狙っているという警戒心はさらに強まった。
また、材木の対中輸出が急増することで森林資源が破壊されるなど環境問題も深刻化していった。
台湾で脳外科手術を受けたマライタ州知事
 こうした親中ソガバレ政権に対して反旗を翻したのが、
かねてから因縁のあるマライタ島民を代表する州知事、ダニエル・スイダニである。
台湾との関係を維持すると表明し、州内での中国企業進出を禁じた。
その代わりに米国からの開発援助を取り付けた。さらに2020年9月、
マライタ州知事として独立を問う住民投票を行うと宣言した。
 台湾は2020年6月、新型コロナ禍の中、マライタに対し防疫物資の無償支援を行い、
スイダニは物資の受け取り式典で台湾を賞賛。
だが、中央政府がこの防疫物資を没収するといった事件も起きていた。
 また、スイダニは今年(2021年)5月、台湾で脳外科手術を受けた。
ソロモン現地の親スイダニ報道によれば、スイダニの台湾訪問中に、
ソガバレ派がマレイタ州議会でスイダニ知事不信任案を提出させようと画策していたらしい。
結果的に世論の反発でこれは失敗。スイダニが台湾から帰国した後、
不信任案を提出しようとした州議長が住民に謝罪するといった事態が起きていた。
 このスイダニ不信任案の動きを妨害するためにマライタ市民が暴動を起こすという噂が流れ、
議長はビビって謝罪したらしい。それが10月27日のことなので、
1カ月後にホニアラで起きたデモは、スイダニ派の反撃、と考えていいだろう。
それが華人系店舗50以上を焼き討ち、略奪し、
2800万ドル規模の損失を引き超すような暴乱に発展すると予測していたかはともかく。
中国が危険視するマライタ州の動き
 状況を整理すると、ソロモン諸島では、根深い中国人嫌悪と、チャイナマネーが引き起こす政界汚職、
部族対立構造を反映した政治不信がある。
その対立は「ソガバレ vs.スイダニ」の権力闘争として顕在化、
そこに「中国 vs.台湾」の外交戦が反映され、
そこに「中国 vs.米・豪その他西側陣営」の安全保障と価値観対立が重なる形で複雑化している。
 また、マライタ州の「独立」の動きは、台湾の独立派の動きに連動しかねない、とみる中国にしてみれば、
このマライタ州の動きは実に危機極まりないものである。
 今回の暴動事件に関して、中国側、ソガバレ側は、
外部勢力(台湾、オーストラリア、米国など)が反ソガバレの動きを煽動している、と非難している。
一方、スイダニ側は、オーストラリアなどが軍警を治安維持のために派遣したことはソガバレ政権維持に利する、
と批判している。
 国会は11月27日に再開され、マシュー・ワレ野党代表がソガバレに対する不信任案動議に関する通告を出したと発表。
だが、ソガバレは権力維持に自信を持っており、政治的にどのような決着がつくかはまだわからない。
太平洋に足場を築きたい中国の野心
 ここで注意すべきは、民主派陣営の一国に暮らす日本人が、
この事件をどうとらえて、何を教訓とするか、ということだ。
 犠牲者への哀悼、無碍に財産や安全を奪われた人々への同情、暴力反対の思いは大切だ。
だが大局的には、中国の野心を正しく理解すべきだろう。
中国がソロモン諸島に執着するのは、太平洋における米軍プレゼンス排除、という野望があるからだ。
米国と拮抗してG2(米中2極)体制という新たな国際社会の枠組を打ち立てるために、
まず米軍プレゼンスをアジアから排除し、次に太平洋の真ん中、ハワイあたりを境界線にして米軍を押し出したい。
ハワイを境に、東が中華秩序・人民元基軸、西が米国秩序・ドル基軸で肩を並べて世界を支配しよう、というわけだ。
 そのために必要なのは、第一列島線の要にある台湾を中国の一部にしてしまうこと、
同時に、韓国や日本から米軍を撤退させ、グアムあたりに下がらせる。
そこから太平洋の取り合いになるのだが、やはりその要は、
パプアニューギニアやバヌアツ、フィジーやソロモン諸島あたりとなる。
ここに中国の軍事基地を設置できれば、太平洋の真ん中で米中が渡り合える。
 このあたりは米軍の直接のプレゼンスが及びにくい軍事空白地、
かわりに米同盟国のオーストラリアが睨みを利かしているはず・・・だったが、オーストラリア議会がやはりチャイナマネーに毒され、
「サイレント・インベーション」(静かな侵略)されていたと話題になったのが2018年だ。
 つまり中国は、南太平洋の台湾の友好国に対し、
資金とマンパワー(中国移民)の持ち込みによって事実上の経済支配と政治干渉を静かに行い、
その国にもとからあった内政の対立や分断を利用して、中国にとって有利な形に政治や世論を誘導していこう、というわけだ。
 野党代表、マシュー・ワレは今回の件について、「政府は中国の既得権益の捕虜となり傀儡となっている」と批判している。
日本も油断は禁物
 中国の台湾併合は、歴史的悲願、領土拡張の野望といった部分だけでなく、
例えば世界半導体産業の行方を左右する台湾企業「TSMC」やその他の先端技術を擁する企業の併呑による
中国の半導体国産化という野望の近道でもある。
台湾問題は、“パクス・シニカ”(中華治世)が実現するか否かのカギとなるテーマだと思ってほしい。
 そして、今回のソロモン諸島で起きた暴乱に限らず、中台外交戦、米中の対立構造がいたるところで影響を与えている。
ホンジュラスの親中派大統領誕生も、リトアニアの台湾接近も、そうした国際外交バトルが影響している。
 内政に不安があったり、諸民族や社会階層の分断が深刻であったりする国ほど影響を受けやすいが、
平和で安定していると安心しきっている日本でも、これだけ隣人や社会の中枢に中国人が増えているのだ、
いつ、どういう形で思わぬ分断や対立や暴力を引き起こされるかわからない。だからといって、
中国人排除ということになれば、それこそ社会分断を目論みている輩を喜ばせる。
 気に留めるべきは、自分たちがどういう社会で生きていたいかを、きちんと意識することだ。
自由と民主の価値観を貴ぶ国際社会の枠組みを維持したいなら、台湾の民主を守り切れるかどうか、
そのために私たちは何をすべきか、何ができるかを考えておきたい。
筆者:福島 香織

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◎ アングル:中台どちらにつくか、ソロモン諸島で政府と州が対立
 (2021.12.2、 ロイター) https://jp.reuters.com/article/solomon-islands-unrest-idJPKBN2IH09H
 [シドニー 29日 ロイター] - 南太平洋の島しょ国、ソロモン諸島における反政府抗議行動が暴動に転じ、
4人の犠牲者が出たことを受けて、オーストラリアは治安維持を支援するため警察・兵士を派遣するに至った。
 前週、3日にわたって続いた暴動では、抗議参加者による建物への放火や店舗での略奪が見られた。
目撃者は、抗議者の怒りの矛先は高失業率や住宅難といった問題に向けられていたと話している。
 だがこの暴動に先立ち、ソロモン諸島で最も人口の多いマライタ州では、
ソガバレ首相の率いる現政権が2019年に台湾と断交して中国を公式に承認したことに対する住民の抗議行動があった。
 中国との外交関係樹立という決定は、マライタ州とソロモン諸島政府との緊張を招くだけでは終わらなかった。
人口65万人のソロモン諸島は、大国間の地政学的な対立に巻き込まれてしまったのだ。
<暴動で何が起きたか>
 暴動が始まる前に、「マライタに民主主義を(Malaita for Democracy)」と称するグループの抗議参加者は
ソロモン諸島の首都であるガダルカナル州ホニアラに移動し、国会議事堂周辺に集結していた。
彼らはソガバレ首相に対し、11月24日に対話に応じるよう求めていた。
 目撃者の証言では、ソガバレ首相が姿を現さなかったことが暴動を引き起こしたとされている。
ホニアラの中華街地区の大半はその後の暴動で破壊された。
上水道の整備されていないホニアラ郊外の集落の若者らも、暴動に参加していたという。
 ソロモン諸島政府からの要請に応えて、豪州は警察官・兵士100人を派遣。
パプアニューギニアからも平和維持要員50人が送られた。
派遣された要員は現地警察による治安回復を支援しており、フィジーも50人を派兵すると表明している。
 ソガバレ首相は、ソロモン諸島と中国との外交関係樹立を望まない「諸外国の勢力」の介入があったと述べたが、
国名は挙げなかった。台湾は、暴動への関与を一切否定している。
<中台の対立による影響は>
 中国と台湾はここ数十年、南太平洋を巡るライバル関係にある。
この地域の島しょ国の中には、一方から他方へと関係を乗り換える動きもあり、
中台双方が影響力を高めるために援助やインフラの提供を競い合っているという指摘も表面化している。
 台湾と公式の外交関係を維持している国は15カ国。台湾と断交し、
中国に乗り換えた最も最近の2例が、2019年9月のソロモン諸島とキリバスだ。
 だがマライタ州のダニエル・スイダニ州首相は、州内から中国企業を追放し、
米国からの開発援助を受け入れた。
 スイダニ州首相は5月に治療を受けるために台北を訪問し、
ソロモン諸島の中央政府および駐ホニアラ中国大使館から抗議を受ける事態となった。
 担当医師らは、スイダニ州首相には脳腫瘍の疑いがあり、外国の病院での治療を推奨していたと話している。
州首相の帰国は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連で数回にわたり延期されたが、
10月にはマライタに戻っている。
<中国・台湾の言い分は>
 台湾は、暴動にはまったく関与していないと述べている。
一方、中国外務省はソロモン諸島での事態を憂慮していると述べ、
両国の関係を損なおうとする試みは「無益だ」としている。
 中国外務省の広報官は「我が国とソロモン諸島の外交関係の樹立が、
ソロモン諸島の根本的かつ長期的な発展に沿ったものであることは、諸事実が証明している」と語った。
<他の太平洋島しょ国は>
 南太平洋地域の主要な地域グループである太平洋諸島フォーラムのヘンリー・プナ事務総長は、
「すべての当事者」に自制を促し、法の支配と憲法を遵守することを求める声明を発した。
<米国の言い分は>
 米国務省はホニアラにおける暴力行為に懸念を表明し、平和と安全の迅速な回復を支持すると表明した。
その上で、ソロモン諸島との間に「しっかりとした絆」を維持しているとも述べている。
 米国際開発庁(USAID)は2020年、持続可能な林業プロジェクトと平和維持部隊の再建を手始めとして、
マライタ州を拠点とする開発プログラムに2500万ドル(約28億5400万円)を供与した。
 これに対しソロモン諸島政府は同年10月、米国による援助プログラムはまず中央政府の承認を得る必要があるとして、
マライタ州に適正な手続きを尊重するよう警告。「外国からの援助の政治利用」を止めるよう国民に訴えた。
 スイダニ州首相の政策顧問は、米国からの援助は、ソロモン諸島政府から支援を要請した書簡に応じたものであり、
2019年に中国承認へと舵を切る前の話であると話している。
<豪州はなぜ部隊を派遣したのか>
 豪州は、ソガベレ首相が両国間の安全保障条約に基きホニアラの治安回復のために警察部隊の派遣を要請したことに応じたものだと説明。
「私たちの関心は安定の維持にあり、対立するどちらか一方にくみすることはない」と主張している。
 他方でマライタ州は、豪州の決定は意外だと述べている。
 これまでにも豪州の警察部隊は、太平洋諸島フォーラムの決議で承認された平和維持活動として、
2003年にソロモン諸島に派遣され、10年間駐留を続けたことがある。
 1998年から2003年にかけてはガダルカナル、
マライタ両州の武装グループが絡む深刻な国内暴動、武力紛争が続いていた。
 一方、豪州と中国の外交関係には緊張が漂っている。豪国防相は中国が、
地域の平和と繁栄を促進するという建前と裏腹に「警戒すべき」行動をとっていると批判しており、
中国政府からの非難を受けている。

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◎ 「五郎さんが帰ってきたよ」日章旗78年ぶり故郷へ 
三田から22歳で出兵、ソロモン諸島で戦死  (2021.12.6、 神戸新聞NEXT)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/202112/0014893642.shtml
  「五郎さんが帰ってきたよ」。太平洋戦争中の1943年、旧有馬郡三田町から出兵し、
パプアニューギニアで命を落とした男性の日章旗が、78年ぶりに米国から兵庫・三田の地に戻った。
旗を受け取った甥(おい)っ子は、男性の帰りを願った亡き親きょうだいに届くよう、笑顔で墓前に掲げた。(喜田美咲)
 黄土色と茶色が混ざり、手で広げると破れてしまうほどもろくなった布。
四つ折りのまま水にぬれたのか、「祈武運長久」といった文字は、所々反転して写っている。
 日章旗の持ち主だったのは故・杉尾五郎さん。兄2人、姉2人の末っ子として生まれた。
2人の兄は軍事産業に携わっていたため、会社勤めだった五郎さんだけが43年3月24日、22歳で出征。
翌年、戦地で亡くなった。遺骨は戻ってこなかった。
 日章旗は米ニューヨーク州の男性家族から日本遺族会や兵庫県遺族会などを経由して、今春、三田市の遺族会へと託された。
市遺族会の女性部長竹内ハルミさん(79)が、同級生や地域のつながりをたどり、
甥の典一さん(77)=大阪府豊中市=を見つけ出した。
 典一さんは五郎さんの長兄賢一さん(故人)の息子。
五郎さんが出征した翌年に生まれたため、会ったことはなく、
母親から「五郎さんは(終戦直前に出兵させられ)かわいそうやった」とだけ聞かされていた。
無口な父は何も語ろうとしなかったが、精悍(せいかん)な遺影を見て、
「父に似てまじめな人だったんだろう」と思っていた。
 県遺族会の遺留品調査票によると、所属は陸軍上等兵南海派遣沖第六〇九四部隊。
輸送船に乗っていた際、魚雷に襲撃されたと聞いていたが、死亡場所はソロモン諸島ブーゲンビル島とあった。
そこは日本軍が占領した地で、43年11月から停戦の45年8月21日まで米軍との激戦地となった。
 「どのように散ったのか、今となっては分からない」と典一さん。
墓に刻まれた死亡日とこのほど知らされた日も、10日のずれがあった。
 肌身離さず持ち歩いていたであろう旗は、オークションなどで巡り巡って、米国の男性宅にあった。
男性が亡くなり、家族が遺品整理中に旗を見つけ「本来あるべき場所に返してあげたい」と申し出た。
 「(戦争)当時、日章旗を持ち帰ることが米軍にとって手柄の印だった」と市遺族会の竹内さん。
戦後、収集家の間で出回ったが、次の世代が持ち主に返したいと望むようになり、
返却される事例は少なくないという。
 今年7月20日、典一さんの元へ日章旗が届いた。「お盆前に帰ってきてくれた」と早速、
三田市内にある墓へあいさつ。
11月末、再び旗を持参し、竹内さんと一緒に撮った写真を、米国の男性家族に送るという。
破れないよう額に入れて大切に保管し、「五郎さんの生きた証し。家宝にしようと思っている」と墓標を見つめた。
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